111弁当箱法の目的と提案する使用例、栄養変動について

111弁当箱法

目的と使用例

 111弁当箱法で作った適正な栄養組成とエネルギー量を備えた1食を食べるということは大切です。しかし、毎食この方法で作ったお弁当しか食べられないというのでは飽きてしまいますし、何よりストレスが大きくなり、ほとんどの人は継続できないと思います。

 重要なのは、この方法で作ったお弁当を全ての食事で食べることではなく、作った食事を手に取ってサイズと重さを感じ、実際に食べて、それが自分の適切な一食(マイ・ポーション)であり、ご飯とおかず(主菜、副菜)の適切なバランスであるということを認識することにあります。アメリカ人の1食の量(個人ポーションサイズ)が大きくなったのは、商業的販売戦略によってレストランや市販食材の一人分の量(商業ポーションサイズ)がどんどん大きくなっていったからだと言われています。大量の食事が用意される大食漢の家族環境で育った子供の食事量が多いことも知られています。運動部員が部をやめた後も食事量が変わらず、どんどん太っていくということもよくあるエピソードです。こういった事実から、ポーションサイズに対する環境や学習の影響は大きいと考えられています。負担の無い頻度で、定期的に繰り返して弁当箱法を使っていくことで、自分のポーションサイズを認識して適切なものにリセットしていくことがこの方法の最も大きな目的です。

 もちろん、一日の食事の中の一食(昼食)をお弁当として置き換えたり、数日に一回でも最も多くなる食事(夕食等)をこの方法の食事に置き換えて、制限食として使うことも可能です。

 1型糖尿病の方の基礎カーボカウントとして使う場合は、この方法で作った食事中の炭水化物量(カーボ)を算出することは簡単なので、食事中のカーボ数を見極めるサンプルとして使ったり、インスリン・カーボ比を設定する時の方法として使うことも出来ますし、血糖状態が不安定になった時に、炭水化物量とインスリン量を一定にして血糖管理を安定化させる方法として使うこともできます。

 このように様々な使い方がありますので、少しでも興味がある方は、一度使ってみてください。この方法で、自分の食行動や代謝状態に良い変化が生まれるかもしれません。

111弁当箱法の栄養変動:「おかずの種類によってお弁当のカロリーなんて毎回変化するんじゃないの?」

 111弁当箱法を説明した時に最もよく問われるのが、「111弁当箱法でお弁当を作っても食材の違いがあるのだからエネルギー量(カロリー量)や栄養組成率は一定にならないのではないですか?毎回変化しませんか?」という質問です。その通りです。変化します。一定のエネルギー量や栄養組成率に固定することはできませんし、検証実験(糖尿病 2010;53(9):706~712)でもバラツキがあることが示されています。あくまでも統計解析した平均値での設定です。しかし、そもそも同一人物でも食事の摂取エネルギー量は毎日大きく変動することが知られ(日間変動係数:15-20%。日本人の食事摂取基準2020年版より)、その日間変動よりも111弁当箱法で作られる食事エネルギーの変動(変動係数:10-15%)の方が小さい変動であることが分かっています。重要なのは、毎回のエネルギー量と栄養組成率を厳密に一定にすることではなく、適切なエネルギー量と栄養素バランスの目安を作ることにあります。更に、この111弁当箱法を実行する回数(日数)が増えれば増えるほど、その平均値は設定された値に近似することが期待されますので、問題は無いと考えています。

Ver. 1.0:2023年6月12日

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